Oリング規格の決定版!JisとAs568の違いや溝設計・材質選定基準
Oリングが破損・劣化して漏れを引き起こす最大の要因は、流体との化学的相性や使用温度域の不一致です。現場でのトラブルを防ぐためには、明確なOリング材質選定基準を確立しておく必要があります。
ゴム材質はJIS規格上で「1種A」「4種D」といった記号で定義されています。主要な4系統の特性と選定のポイントを解説します。
1. ニトリルゴム(NBR):汎用性と耐鉱物油性の決定版
ニトリルゴムNBR規格(JIS 1種A、1種Bなど)は、耐鉱物油性・耐摩耗性に優れ、最も安価で流通量が多い材質です。一般的な油圧作動油、燃料油、潤滑油、水に対して極めて安定したシール性能を発揮します。標準的な使用温度範囲は-30℃〜100℃(特殊配合で120℃まで対応)です。ただし、耐候性・耐オゾン性が低いため、直射日光の当たる屋外環境やオゾン発生源の近くでは急速にオゾンクラック(ひび割れ)が発生するリスクがあります。
2. フッ素ゴム(FKM):過酷環境に耐える高温・耐薬品の標準
フッ素ゴムOリング耐熱温度は連続使用で最高200℃(短時間であれば230℃程度)に達し、化学的安定性も極めて高いエラストマーです(JIS 4種Dなど)。ガソリン、芳香族炭化水素、強酸、高真空環境下でも劣化しにくく、自動車のエンジン周辺や半導体製造ライン、化学プラントで不可欠な存在となっています。耐候性・耐オゾン性も万全ですが、極低温環境(-15℃以下)ではゴム弾性が急激に失われる点、極性溶剤(アセトンやMEKなど)やアミン系薬品には膨潤しやすい点に注意が必要です。
3. シリコンゴム(VMQ):広範な温度域と食品・医療対応
シリコンゴムOリング耐薬品性は、-50℃の極低温から200℃の高温まで幅広い弾性を保持する耐寒・耐熱特性が最大の武器です(JIS 4種Cなど)。無毒無臭で生理的不活性を持つため、食品衛生法適合品や医療機器のシール材として広く採用されています。一方で、機械的強度(引張強度や引裂き抵抗)が低く、鉱物油や燃料油、強酸・強アルカリには弱いため、油圧回路や動的しゅう動面での使用には向いていません。
4. エチレンプロピレンゴム(EPDM):耐スチーム・耐候性のスペシャリスト
高温蒸気(150℃前後)、温水、耐候性、耐オゾン性、リン酸エステル系難燃性作動油、ブレーキ液(DOT3/DOT4)に対して卓越した耐性を示します。使用温度範囲は-40℃〜150℃です。屋外暴露環境や自動車の冷却系配管で重宝されますが、鉱物油やガソリンに接触すると瞬時に著しい膨潤(膨らみ・軟化)を起こして破壊されるため、機械油系への誤用は絶対に避けなければなりません。