ガスの火が赤いのは危険?加湿器の罠と不完全燃焼を見分ける命の防犯策
冬場の取材現場やガス会社のコールセンターにおいて、12月から2月にかけて爆発的に増える問い合わせが「急にガスコンロの火がオレンジ色になった」という相談です。そして、その原因の約7割から8割を占めるのが、意外にも超音波式加湿器の影響による無害な炎色反応です。
超音波式加湿器は、水を超音波振動によって微細な水滴(ミスト)へと粉砕し、空気中に拡散させる構造を持っています。日本の水道水には、カルシウムやマグネシウム、ナトリウムといったミネラル成分が豊富に含まれています。ミストとなった水道水が空気中に漂い、ガスコンロの空気吸入口から吸い込まれると、ミネラル分の中の微量なナトリウムが熱分解され、高校の化学実験でおなじみの「ナトリウムの黄色い炎色反応(波長約589nm)」を引き起こすのです。
人間の目には、この強い黄色が炎の青と混ざり合って「鮮やかなオレンジ色」や「不気味な赤い炎」として認識されます。この現象自体では有害な一酸化炭素は発生していません。加湿器を設置している部屋とキッチンがドアで仕切られていても、換気扇の吸気によってミストが家中に引き寄せられ、離れた場所のコンロが変色することも日常茶飯事です。スチーム式(加熱式)加湿器は水分のみを蒸発させるためミネラルを空気中に撒き散らしませんが、超音波式を使っている家庭では極めて高確率でこの現象が発生します。