近代化とは何か?社会が激変し続ける驚愕の真相を徹底解説
日本の近代化で見落とせないのは、そのプロセスがきわめて政治主導で進められたことだ。欧米のように市民革命や産業資本の成熟を待つ余裕がないまま、政府が上から制度を変え、産業を育てる必要があった。そのため「和魂洋才」という言葉に象徴されるように、技術や制度は西洋から取り入れつつ、精神面では日本の伝統を守るという二重構造が生まれた。
この急激な西洋化は、当時の日本人に大きな心理的負荷を与えた面も否めない。文明開化の波に乗る者、旧来の生活様式を守ろうとする者、そしてその狭間で戸惑う者の間に、深い断絶が生まれた。実際、明治初期に日本を訪れた外国人たちは、洋服と和服が混在し、馬車と人力車が同じ道を走る東京の光景に驚きを記している。変化の激しさは、社会の記憶に長く刻まれることになった。
一方で、近代化は確実に生活水準の向上をもたらした。衛生状態の改善による乳幼児死亡率の低下、鉄道網の拡大による移動時間の短縮、義務教育の普及による識字率の上昇など、客観的な指標で見てもその成果は大きい。江戸時代から明治時代にかけての日本の変化は、世界史的にも稀有なスピードだったと評される。