『もののけ姫』に潜む官能性の真実!口移しと裏設定を徹底考察
アシタカとサンの関係は、一般的な恋愛アニメのような「結ばれる男女」の構図には当てはまりません。初対面で「我が名はアシタカ!東の果てよりこの地へ来た!」と叫び、刃を向けられながら「生きろ、そなたは美しい」と告げるアシタカの姿勢は、サンの魂そのものを射抜く強烈な求愛とも受け取れます。
この二人の関係性を語る上で外せない重要アイテムが、エミシの村の許嫁・カヤから贈られた「玉(黒曜石)の小刀」です。カヤが「いつもいつも、カヤは兄様を思っております」と命がけで渡した貞操と契りの証を、アシタカはサンを救うための贈り物としてあっさりと譲り渡してしまいます。
この展開は公開当時から「アシタカは女心が分かっていない」「浮気者ではないか」とネット上で物議を醸しました。これについて宮崎駿監督は「男なんてそんなもの」「カヤへの想いも本物だが、今の命の局面で手持ちの最も大切なものをサンに渡すしかなかった」とリアリズムに基づいた人間臭さを率直に語っています。清廉潔白な英雄ではなく、業を背負った一人の男性としてのリアルな選択が、物語に深い奥行きを与えています。