ラガービールの真実とは?エールとの違いと下面発酵の深層解剖
明治期に伝来した下面発酵技術は、日本の水と食文化に合わせて独自の進化を遂げた。その牽引役となったのが、日本のビール文化の屋台骨を支え続ける主要メーカーだ。
開拓使麦酒醸造所をルーツに持ち、本場ドイツの伝統製法にこだわり続けるサッポロビールは、「ヱビス」や「黒ラベル」で麦の旨味とコクを極限まで追求してきた。一方、ホップの効いた本格派ラガーで日本人の舌を育て上げ、一番搾り製法で澄んだ麦の味わいを切り拓いたキリンビール。そして1987年、極限まで発酵度を高めて雑味を削ぎ落とし、「辛口」という新たな価値基準で市場を席巻したアサヒビールの「スーパードライ」。各社が磨き上げた技術競争は、世界最高峰の品質を生み出した。
ビール酒造組合の動向を見ても、消費者の嗜好が多様化する現代においてなお、確固たる支持を集め続けているのはこれら洗練された下面発酵ビールである。大手各社は今、伝統的な味わいを守りつつも、糖質オフ技術や香り高い新種ホップの採用など、時代に呼応した技術革新を怠らない。