ドンク塩パンの真実:老舗ベーカリーが生んだ奇跡の一品

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2010年代初頭、日本のパン業界に大きな変化が訪れた。塩パンブームの到来だ。きっかけは、愛媛県のある小さなベーカリーが作った塩パンが口コミで広がったことだった。SNSの普及も相まって、瞬く間に全国へ拡散した。

シンプルイズベスト。この言葉がぴったりだった。高級な材料も複雑な製法も必要ない。バター、小麦粉、塩という基本的な材料で作られる塩パンは、素材の味を最大限に引き出す料理哲学の結晶だった。

ドンクもこのブームに敏感に反応した。ただし、単なる模倣ではなかった。100年以上培ってきたパン作りの技術と経験を総動員し、独自の塩パンを開発したのだ。

ドンク塩パンの独自性

ドンクの塩パンは、他社製品とは明確に異なる特徴を持つ。第一に、生地の配合だ。フランスパン作りで培った技術を応用し、小麦の風味を最大限に引き出す配合を追求した。国産小麦と輸入小麦をブレンドし、季節や湿度に応じて微調整を行う。

第二に、バターの使用量と品質。ドンクは発酵バターを惜しみなく使用する。生地に練り込むだけでなく、成形時にもバターを巻き込む。焼成時にバターが溶け出し、生地全体に浸透することで、あの独特の風味とカリッとした食感が生まれる。

第三に、塩の選定。一般的な食塩ではなく、ミネラル分豊富な岩塩を使用。粒の大きさも重要だ。大きすぎると塩辛くなり、小さすぎると存在感が失われる。絶妙なバランスを見つけ出すまで、何度も試作を重ねた。

塩パンの断面とバター
吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。