サモトラケのニケなぜ首がない?ルーヴルの至宝とナイキ由来の真相
サモトラケのニケをめぐっては、インターネット上やSNSで様々な都市伝説や誤った情報が語られることがあります。ここでは、専門調査で判明している確固たる事実をもとに、よくある誤解を是正します。
誤解1:腕はすべて粉々に砕けて跡形もない?
「腕は一切残っていない」と思われがちですが、実は1950年にサモトラケ島で右手の一部(手のひらと指の断片)が発見されています。調査を指揮したアメリカの考古学調査チームによって発掘されたこの右手は、指が軽く広げられ、何かを強く握りしめているのではなく、空に向かって掲げられていたことが判明しました。
現在、このサモトラケのニケ 右手 ルーヴル美術館内の同じ展示室近くのガラスケースにひっそりと展示されています。本体には接続されていませんが、かつてニケが右手を高らかに掲げ、戦士たちへ勝利の歓呼の声を上げていた決定的な証拠として鑑賞することができます。
誤解2:女神が乗っている台座は「ただの岩」である?
台座の形状を単なる飾り台と誤認しているケースがありますが、これは明らかな間違いです。台座は精巧に作られた「古代ギリシャの軍艦の船首(へさき)」です。ロドス島産のラルティオス大理石で作られたこの船首は、紀元前190年頃のシリア沖海戦(ミュオネソスの戦いなど)でロードス島海軍がシリア王国の艦隊を破った戦勝記念として奉納されたモニュメントでした。