香川知子の現在と経歴|梨園を去った元Ca妻の決断と息子の飛躍
順風満帆に見えた家庭に突如として大きな激震が走ったのは、結婚から16年が経過した2011年のことでした。当時45歳だった香川照之氏が、断絶状態にあった実父・二代目市川猿翁(三代目市川猿之助)氏と和解し、九代目市川中車を襲名して歌舞伎界へ挑戦することを突如発表したのです。同時に、当時小学校2年生だった長男・政明さんも五代目市川團子として初舞台を踏むことになりました。
歌舞伎の家に生まれたわけではない一般家庭出身の知子さんにとって、この決定は寝耳に水に近い事態でした。梨園の妻には、挨拶回り、後援会(贔屓筋)の接待、劇場のロビーでの立ち居振る舞い、着物の着こなし、厳しい礼儀作法など、代々受け継がれる独自のルールが存在します。芸能リポーターの当時の取材記録によると、知子さんは息子の将来のために慣れない着物に身を包み、必死に務めを果たそうと奮闘していました。
しかし、外様(とざま)として途中参入した一家に対する梨園内の風当たりは想像を絶するものでした。劇場関係者の証言では、知子さんに対する陰口や冷遇、贔屓筋からの無神経な言葉が日常的に浴びせられていたと報じられています。夫の仕事への熱量と自身の生活環境の激変、さらに愛する子どもたちを守りたいという思いとの狭間で、夫婦関係には埋めがたい溝が生じました。
2014年頃から約2年間に及ぶ別居生活を経て、2016年12月に正式に協議離婚が成立。約21年におよぶ香川知子 結婚生活に静かに幕を下ろしました。泥沼の裁判闘争に持ち込むことなく、弁護士を通じた話し合いによって養育権や財産分与を円満に合意させた点にも、彼女の理知的で毅然としたスタンスが表れていました。