グリコ森永事件の子供の声の正体とは?脅迫テープの真相と現在の姿に迫る

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グリコ・森永事件において、怪人21面相が子供の声を吹き込んだカセットテープを初めて現金受け渡しの連絡手段として利用したのは、1984年9月18日のハウス食品脅迫事件でした。犯人側は京都市内のレストランや喫茶店へ電話をかけさせ、録音されたテープの音声を再生して警察と企業側を翻弄しました。

大人の指示をそのまま読み上げさせられているような、抑揚の少ないたどたどしい語り口は、受話器越しに聞いた捜査員たちに戦慄を与えました。警察庁の鑑定資料や当時の報道記録に残る代表的なテープの文字起こしは以下の通りです。

【ハウス食品脅迫事件における男児の声(文字起こし)】
「……きょうとへ むかって ドライブインレストラン ふじの てまえのバスのていりゅうしょに ある ごみばこの なか……」

【森永製菓脅迫事件における女児の声(文字起こし)】
「……中央高速道路を 名古屋方面へ向かい、恵那インターチェンジを過ぎて……白砂のドライブインの……」

犯人グループが子供の声を使用した最大の理由は、「警察による声紋鑑定の回避」と「電話を受けた相手への心理的動揺」を狙った極めて狡猾な計算によるものでした。当時の音声分析技術では、成人男性の声紋であれば個人識別の精度が高かったものの、声帯が未発達な幼少期の子供の声から個人を特定することは科学的にほぼ不可能でした。無邪気な子供の存在を盾にして自らの身元を隠蔽する手口は、これまでの犯罪史に類を見ない悪質極まりない戦略だったのです。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。