世界的音楽家が愛する武蔵野市民文化会館の秘密と座席・音響完全ガイド
武蔵野市民文化会館がクラシック界で「奇跡」と称される背景には、ハードウェアとしての卓越した音響設計と、ソフトウェアとしての破格の自主企画力という2つの明確な理由が存在します。館内には1,390席を備えた武蔵野市民文化会館 大ホールと、472席の武蔵野市民文化会館 小ホールが配置されていますが、とりわけ音楽関係者を驚嘆させてきたのが小ホールの存在です。
小ホール正面にそびえ立つのは、デンマークの名門マルクセン社によって制作された武蔵野市民文化会館 パイプオルガンです。1980年代初頭の開館当時、自治体の市民会館に本格的なメカニカル・トラッカー方式のフランス・古典ロマン派様式オルガンを導入した事例は極めて稀でした。木と石の反射が計算されたシューボックス型の空間は、オルガンの重低音からチェロや古楽器の微細な倍音まで余すところなく包み込み、まるで欧州の歴史ある教会で聴いているかのような濃密な残響を生み出します。
さらに特筆すべきは、管理運営を担う武蔵野文化生涯学習事業団の手腕です。同事業団は開館当初から海外のトップアーティストへ直接アプローチを仕掛け、中間マージンを抑えた自主招聘を継続してきました。都心の主要ホールであればS席数万円に達する海外著名オーケストラや世界的ソリストの演奏会が、武蔵野市では数千円から1万円前後という破格の水準で提供されます。「文化は市民の基本的な権利であり、贅沢品にしてはならない」という確固たる理念が、何十年もの歳月をかけて世界的名声へと結実したのです。