慰安婦像の設置理由と撤去対立の真相|海外30カ所超の最新動向を総括

慰安婦像の設置理由と撤去対立の真相|海外30カ所超の最新動向を総括の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

近年、国際的な焦点となっているのがドイツにおける設置動向です。2026年9月、首都ベルリンのミッテ区の公道歩道に、現地韓国系市民団体「コリア協議会(Korea Verband)」の主導によって少女像(アリ像)が設置されました。

当初、区役所は設置許可を「一時的な芸術展示(1年間)」として認めていましたが、碑文に「第二次世界大戦中、日本軍は女性たちを性奴隷として強制連行した」という一方的な記述が含まれていることが判明。日本政府からの強い抗議を受け、ミッテ区役所は即座に撤去命令を発出しました。しかし、団体側が行政裁判所に異議を申し立て、さらに緑の党や左翼党が主導権を握るミッテ区議会が「像の存続を求める決議」を可決したことで、撤去は膠着状態に陥りました。

ドイツ国内の反応は大きく二分しています。リベラル層やフェミニズム団体は「戦時性暴力の告発と普遍的人権の象徴」として像を熱烈に支持しています。ドイツ社会には自国のホロコーストに対する徹底的な反省意識(過去の克服:Vergangenheitsbewältigung)が深く根付いており、「過去の加害責任を記憶し続けるべきだ」というナラティブに親和性を持ちやすい土壌がありました。

これに対し、行政側や外交専門家からは「二国間の歴史摩擦をベルリンの公共空間に持ち込み、地域社会に政治的分断を固定化させるべきではない」との懸念が相次いでいます。公有地の占用期限が切れるなか、設置団体側は西部の都市ボンにある「ボン女性博物館」などの私有施設敷地に恒久設置の除幕式を行うなど、「公有地での認可切れに備えて私有地や文化施設へ移転・多角化する戦術」を展開しています。私有地内の設置に対しては、行政による強制撤去命令が法的に難しく、対立の舞台は新たな局面を迎えています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。