尊厳死と安楽死の違いは?法制化されない理由と後悔なき選択の全真相
万が一の事態が訪れた際、自らの意思を医療従事者や家族に確実に届けるためには、口頭ではなく書面による残存記録が不可欠です。尊厳死の意思表示を行うための主要な手段には、大きく分けて「尊厳死宣言公正証書」と「民間団体のリビングウィル」の2種類があります。
尊厳死宣言公正証書の費用と作成手順
公的な信用度が最も高い手続きが、公証役場で公証人に作成してもらう「尊厳死宣言公正証書」です。公証人が本人の正常な意思能力を確認した上で作成するため、後から親族が「本人は認知症で判断力がなかったはずだ」と無効を主張することを強力に防ぐ効果があります。 公証役場で作成する宣言書には、通常以下の条項が盛り込まれます。 * 治癒不能な終末期に至った場合、延命治療の中止・差し控えを求める旨 * 苦痛を和らげる緩和医療(麻酔や鎮痛薬の適切な投与)を最大限受ける旨 * 意思決定に従った医師に対し、民事・刑事上の責任を一切問わない免責条項 * 親族への感謝と、親族がこの決定に同意・承認している旨の明記 作成にかかる費用は、日本公証人連合会の基本手数料規程により基本手数料が1万1,000円、証書の原本・正本等の交付手数料(用紙代)や送達費用を含めても約1万5,000円〜2万円程度で作成可能です。弁護士や行政書士に文面作成の代行を依頼する場合は、別途3万〜10万円程度の専門家報酬が発生します。
日本尊厳死協会の会費と医療現場での評判
もう一つの代表的な選択肢が、1976年に設立され、半世紀近い歴史を持つ「公益財団法人日本尊厳死協会(東京都文京区本郷)」の会員となり、協会指定のリビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)に登録する方法です。 日本尊厳死協会に入会する場合の費用は、以下の通りです。
- 入会金:不要
- 年会費(1名):3,000円(初年度〜継続)
- 夫婦同時入会の場合:合計5,000円/年
- 終身会費:7万円(一括払い・70歳以上など条件あり)
入会すると、ID番号が記載された「リビング・ウイル会員証カード」が発行され、原本は協会本部で永久保管されます。同協会の調査データによると、会員が医療機関へカードを提示した場合の医師の受容率は9割以上に達しており、全国各地に「リビング・ウイル受容協力医師」のネットワークが存在することも医療現場での高い実効性を後押ししています。 ただし、日本尊厳死協会の評判を検証すると、メリットばかりではありません。「年会費を毎年払い続ける必要がある」「高齢になって住所変更や更新手続きが煩雑」「最終的に医師が従うかどうかは医療機関の方針に左右される」といったユーザーの指摘も存在します。手軽に医療界で認知されたフォーマットを使いたい場合は尊厳死協会、一度の手続きで半永久的な公的証拠力を確保したい場合は公正証書を選ぶのが確実なアプローチです。