失敗しないはちみつ梅干しの作り方|カビと発酵を防ぐ黄金比率
仕込みから数日後、保存袋や容器の中に無数の小さな気泡が発生し、袋がパンパンに膨張したり、白く濁った液体からツンとしたアルコール臭が立ち上ったりすることがあります。これが多くの初心者を悩ませる「発酵・泡立ち」現象です。一方、表面に浮遊する青、黒、白の綿状の異物は「カビ(真菌)」です。この2つは似ているようで、発生の生物学的ルートが全く異なります。
伝統的な梅干しは18〜20%という高濃度の塩分で漬け込みます。この高浸透圧環境下では、細菌やカビの細胞から水分が脱水され、微生物は増殖できません。しかし、塩分を10%以下に抑え、さらに糖分である蜂蜜を添加すると環境は一変します。梅の表皮に微量に自生している「野生酵母(耐浸透圧性酵母)」にとって、薄まった塩分と豊富なブドウ糖・果糖は格好のエネルギー源となります。酵母が糖を分解して炭酸ガスとエタノールを生成する過程こそが、はちみつ梅発酵泡立ちの理由です。
カビは酸素がある環境(好気性)でしか繁殖できません。容器内に無駄な空気層が残っていたり、浮き上がった梅が空気に触れ続けたりすることで胞子が発芽します。つまり、カビない減塩梅干しの漬け方を成立させるには、「酵母の活性を抑える十分な初期浸透圧」と「空気を徹底的に遮断する環境づくり」という2つの物理的条件を同時にクリアしなければなりません。