アイコスの発がん性10倍は本当か?海外論文の真相と有害物質比較

アイコスの発がん性10倍は本当か?海外論文の真相と有害物質比較の重要なポイントについて、専門知識を取りまとめてご紹介します。

スイス大学の論文発表直後、開発元であるフィリップモリス・インターナショナル(PMI)は速やかに異議を申し立てました。同社は公式発表資料および学術レターを通じ、アウアー氏らの測定手法に重大なプロトコル上の不備があると指摘しています。

PMI側の主張によると、スイス研究チームが用いた捕集機器は国際標準化機構(ISO)やカナダ保健省が定めたタバコ煙測定基準(Health Canada Intense法)に準拠しておらず、エアロゾルの再凝縮や機器内部の過熱によって異常値が生じた可能性があると反論。自社の厳密なGLP(優良試験所規範)基準下で行われた臨床・非臨床試験では、主要な発がん性物質を含む9つの重点有害成分が平均90〜95%低減しているデータを提示しました。

一方、日本の公衆衛生を司る厚生労働省や国立がん研究センターの見解は、メーカーのプロモーションをそのまま鵜呑みにすることなく、極めて慎重なスタンスを維持しています。厚労省がまとめた加熱式タバコに関する健康影響評価報告では、以下の重要見解が示されています。

「加熱式タバコから発生する蒸気には、紙巻きタバコに比べて量は少ないものの、ニコチンやホルムアルデヒド、アクロレインなどの有害成分・発がん性物質が明確に含まれている。したがって、健康被害が生じる可能性を否定することはできず、現時点で『害がない』『発がんリスクがゼロ』と評価することは医学的に不適切である」

さらに国立がん研究センターの研究者は、加熱式タバコが日本市場に本格投入されてからまだ10数年程度しか経過していない点を強く強調しています。肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった慢性疾患は、有害物質に20年から30年以上にわたって曝露し続けることで発症するため、疫学的な最終結論が出るまでには今後も長期的な追跡調査が不可欠です。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。