水メジャーの正体と水道民営化の罠|日本のインフラが狙われる真相
日本国内で最も注目を集めたのが、上水・下水・工業用水の3事業を一体化して20年間の運営権を一括売却した宮城県の水道民営化の現在です。2026年4月に本格稼働した「みやぎ型管理運営方式」は、国内初の大規模コンセッション事業として全国の自治体の試金石となりました。
この事業の運営を担う特別目的会社(SPC)「株式会社みずむすびマネジメントみやぎ」には、ヴェオリアの日本法人(ヴェオリア・ジャパン)が中心メンバーとして参画しています。稼働から数年が経過した現地では、どのような実態が浮かび上がっているのでしょうか。
現場周辺の市民団体や住民取材からは、導入当初から続く根強い不信感が聞こえてきます。仙台市内の住民説明会に初期から通い続ける60代の住民は、次のように語ります。
「県は『所有権は手放していないから安心だ』と繰り返すが、日常の監視や水質データのチェックをどこまで県庁の職員が主体的にできているのか見えない。水が命に直結している以上、数字上のコスト削減ばかりをアピールされても不安は拭えません」(市民ネットワーク参加者の証言)
現場の技術継承に関する懸念も深刻です。県職員として長年水質管理に携わってきた退職技術者は、業界誌の取材に対し「熟練職員が持っていた『臭いや濁りのわずかな変化を五感で察知するノウハウ』が、効率化と人員削減の過程で失われつつある」と危機感を漏らしています。
現時点で宮城県における水質汚染事故などの重大トラブルは報告されておらず、デジタル検針の導入や設備の遠隔監視など一定の業務効率化が進んでいる側面は事実です。しかし、県議会では定期的なモニタリング報告における情報の黒塗りや、運営権料の使途に関する質問が頻発しており、住民の完全な納得を得るには至っていません。