大相撲の懸賞金は1本いくら?手取り額の内訳と企業が旗を出す裏側
大相撲中継を見ていると、誰しも一度は目にするのが「永谷園のお茶づけ海苔」や「森永製菓」の懸賞旗です。永谷園の緑・黄・赤・黒の定式幕を模した旗が土俵を何周も回る光景は、大相撲の風物詩となっています。
なぜ一流企業は、1本7万円、1場所で数百万円から数千万円規模の予算を投じて相撲に懸賞を出し続けるのでしょうか。その裏には、現代のメディア環境における極めて高い広告宣伝効果が存在します。
大相撲の本場所は、NHK総合テレビで毎日午後3時過ぎから6時まで生中継されます。NHKは放送法第83条により広告放送が禁じられており、番組内で特定の企業名を宣伝したり、アナウンサーがスポンサー名を読み上げたりすることは一切ありません。取組前の場内アナウンス(「味ひとすじ、お茶づけ海苔の永谷園…」など)が流れる際、NHKの中継ではマイクの集音レベルを意図的に下げるか、解説者のトークを被せる処理が行われます。
しかし、土俵の周りを歩く「懸賞旗に大きく染め抜かれた企業名や商品ロゴ」は、カメラのフレームから消すことができません。カメラが力士の土俵入りや仕切りを映す際、背景や前景として懸賞旗が全国のお茶の間に何十秒間もフルスクリーンで映し出されます。
民放テレビのゴールデンタイムに全国ネットで15秒CMを1本流す場合、数百万円の放映費用がかかるケースも珍しくありません。対して相撲の懸賞は、1場所15日間通しで毎日1本出稿しても基本費用は105万円です。全国の高齢者層、主婦層、ファミリー層が集中して視聴するNHKの生中継枠で、強烈な視覚的刷り込みを行えるコストパフォーマンスは、他媒体と比較しても群を抜いています。
森永製菓の「森永賞」も歴史ある好例です。森永賞はファンが選ぶその日の好取組に懸賞をかける仕組みで、昭和の時代から国技館の観客やテレビ視聴者の参加意識を刺激してきました。単なるロゴの露出にとどまらず、「日本の伝統文化を長年支える老舗ブランド」という揺るぎない企業の社会的信用とブランドエクイティを獲得できる点が、大手企業が懸賞を出し続ける最大の理由です。