逆流性食道炎にバナナはダメ?胃痛を招く糖分の罠と正しい食べ方

逆流性食道炎にバナナはダメ?胃痛を招く糖分の罠と正しい食べ方の背景について、専門知識を詳しくお届けします。

バナナは本来、pHが5.0前後と酸度が比較的低く、胃粘膜を攻撃しにくいアルカリ性寄りの果物です。さらにペクチンなどの水溶性食物繊維が豊富で、胃壁を保護する働きも期待できます。それにもかかわらず、「逆流性食道炎にはバナナがダメ」と指摘される背景には、主に3つの消化生理学的な要因が存在します。

第1の要因は、「高濃度の糖分が引き起こす胃酸過多」です。完熟したバナナの糖度は20度以上に達することがあり、ブドウ糖、果糖、ショ糖が凝縮されています。高濃度の糖分が胃内に到達すると、胃粘膜のセンサーが反応して浸透圧が急上昇します。その結果、胃は消化を促進しようとしてガストリンなどのホルモンを分泌し、胃酸の分泌を一気に活発化させてしまうのです。胃酸過多の傾向がある人にとって、この急激な酸分泌が食道への逆流を引き起こし、強い胸焼けや胃痛の原因となります。

第2の要因は、「バナナの熟度(完熟度合い)による消化プロセスの違い」です。青みが残る未熟なバナナには「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」が大量に含まれており、小腸で分解されにくいため、胃内での滞留時間が長くなります。胃の排出機能が低下すると胃内圧が高まり、胃と食道をつなぐ境目が押し開けられやすくなります。一方で、黒い斑点(シュガースポット)が出た完熟バナナは前述の通り糖分過多になりやすく、どちらに偏っても胃に異なる負担を強いることになります。

第3の要因は、「下部食道括約筋(LES)を緩める食べ合わせと胃内圧」です。胃酸の逆流を防ぐ防波堤である下部食道括約筋は、胃内に食べ物が長時間留まったり、一度に大量の糖質や脂質が流入したりすることで機能が低下します。バナナを短時間で丸ごと1本流し込むように食べると、胃の急激な伸展反射が起き、逆流防止弁が緩んでしまいます。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。