創価学会と中国の異例のパイプ|周恩来会談から現在続く独自外交の真相
なぜ、宗教を「アヘン」とみなす唯物論の中国共産党が、日本の宗教団体である創価学会を特別視し続けたのでしょうか。そこには感情的な親善論だけでは説明できない、両者の冷徹な戦略的動機が存在します。
中国共産党側の視点から見ると、冷戦下における西側陣営の対中包囲網を突破するための「民間外交(民間先行・以民促官)」の推進役として、創価学会の組織力と発信力は極めて魅力的でした。さらに、創価学会の初代会長である牧口常三郎氏が、戦時中に軍部政府の弾圧を受け獄死した事実も重視されました。中国側が推進する「日本軍国主義と一般日本国民を峻別する」という抗日戦争の言説において、軍国主義と対峙して犠牲を出した宗教団体という出自は、共産党のイデオロギーと矛盾することなく受け入れられる稀有な正当性を持っていたのです。
一方、創価学会側の理由としては、仏教発祥のルーツであるアジアへの平和的貢献という宗教的教義(生命尊厳・平和主義)に加え、世界宗教としての国際的プレゼンスを確立したいという動機がありました。国内で新興宗教として既成勢力から排撃されていた時代、海外の大国指導者と直接対話し、文化交流を重ねることは、教団の国際的権威と正統性を国内外に示す強力な後ろ盾となった側面は否めません。
さらに、中国国内の厳しい宗教政策との折り合いも見逃せません。中国政府は『宗教事務条例』により、海外宗教組織による布教活動(伝教)や組織形成を厳重に禁じています。しかし中国共産党は、創価学会を国内の警戒対象である「宗教集団」としてではなく、「海外の友好文化団体・学術民間団体」として分類しました。創価学会側も中国本土で布教活動(折伏)を一切行わず、教育・文化交流に徹するという暗黙の境界線を厳格に守ってきたからこそ、この協調関係は半世紀にわたり破綻せずに継続したのです。