今さら聞けない忖度とは?本来の意味と悪用された真相・使い方の極意

今さら聞けない忖度とは?本来の意味と悪用された真相・使い方の極意について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

なぜ多くのビジネスパーソンは、リスクを承知しながら過剰な忖度を繰り返してしまうのか。組織社会学および心理学の視点から検証すると、その背景には日本企業特有の「ハイコンテクスト文化」と「心理的的安全性の欠如」が横たわっている。

日本能率協会等の実態調査や現場ヒアリングを分析すると、多くの職場において「言われなくても察して動くのが優秀な社員」という昭和型・平成初期型の暗黙規範がいまだ根強く残存している。言葉を尽くして指示を出さない上司と、質問して「自分で考えろ」と叱責されるのを恐れる部下。この不毛な力関係のなかで、部下側は生存戦略として「過剰な先回り推測」を選択せざるを得なくなる。

SNSや大手質問掲示板(知恵袋・オープンワーク等)に寄せられた生々しい告白にも、その歪みが如実に表れている。

「定時退社しようとすると上司のため息が聞こえるため、仕事を無理やり作って忖度残業している」
「経営陣の意図を汲み取ったつもりで提出した企画書が、トップの一存で『そんなことは言ってない』と梯子を外された」

これらはすべて、曖昧な指示と責任逃れの構造が生み出した弊害だ。一方で、顧客の言外のニーズを推し量る「商談での機転」や、疲弊した同僚の異変に気付いて業務を肩代わりする行為など、本来の意味における忖度はビジネスの潤滑油として機能する。問題の本質は推し量ること自体ではなく、「権威への盲従」と「確認の放棄」が合体したときに発生する組織麻痺にある。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。