小林麻美の若い頃と電撃引退の真相|雨音はショパンの調べから現在まで
小林麻美のカリスマ性を決定づけたのが、1984年4月にリリースされた『雨音はショパンの調べ』です。イタリアのシンガー・ガゼボが歌った『I Like Chopin』を、親交の深かった松任谷由実が日本語詞を担当してプロデュース。原曲の哀愁漂うシンセポップに、ユーミン特有の退廃的で洗練された情景描写が見事に融合しました。
この楽曲はオリコンチャートで通算3週連続1位を獲得し、売上は40万枚を突破(1984年度年間シングルチャート12位)。さらに同曲を収録したアルバム『CRYPTOGRAPH 〜愛の暗号』も爆発的なセールスを記録します。しかし特筆すべきは、そのヒットの過程で取られた前代未聞のメディアコントロールでした。
当時、全盛期を誇っていた『ザ・ベストテン』や『夜のヒットスタジオ』といった生放送の歌番組に対し、彼女は「原則としてスタジオ生出演で歌わない」というスタンスを貫いたのです。代わりに放映されたのは、海外ロケによる映画のようなミュージックビデオや、シルエットを多用したアーティスティックな映像でした。テレビ局側が求める過剰な露出を拒否し、露出を極限まで絞ることで、視聴者の渇望感と神秘性を極限まで高める戦略が完全に結実した事例といえます。