「いいんです」は目上に失礼?敬語言い換えと使ってはいけない決定打
「いいんです」を巡る摩擦は、単なる教科書的なマナー論にとどまらず、現場の業務効率や評価に直結する深刻なテーマとなっている。民間リサーチ会社やビジネスマナー研究所が実施した「職場の敬語コミュニケーションに関する意識調査」の傾向を見ると、世代間における受容度の乖離が浮き彫りになっている。
20代の若手ビジネスパーソンのうち約54%が「『いいんです』は『です』が付いているため、目上に対しても失礼ではないと思っていた」と回答しているのに対し、40代〜50代の管理職層では約68%が「部下から『いいんです』と返されると強い違和感や上から目線を感じる」と証言している。文化庁が定期的に発表する「国語に関する世論調査」でも指摘される通り、言葉の簡略化が進む一方で、職場の実務現場では依然として伝統的な上下関係の秩序が重視されているのが現実だ。
大手IT企業で人事総務を担当する40代マネージャーは、社内チャットツールでのやり取りについて次のような実情を打ち明ける。
「有給休暇の取得調整や業務の進捗確認で『急な変更で申し訳ない』と伝えた際、若手社員から『全然いいんです!』とチャットが返ってくると、頭では悪気がないと理解しつつも、どこか釈然としない引っ掛かりが残ります。『そちらの許可をもらう筋合いではないのだが』という小さな違和感の積み重ねが、やがて信頼関係の歪みにつながってしまう怖さを感じます」
また、インターネット上のコミュニティや知恵袋、SNS上でも「取引先に謝罪した際、『いいんです、気にしないでください』と言われて面食らった」「上司から『いいんです、とは何事だ』と叱責され、何が悪いのか分からずパニックになった」といった生々しい体験談が頻繁に投稿されている。善意から出た言葉のチョイスミスが、ビジネスパーソンとしての評価を無意識のうちに削り取っている。