カチョエペペとは何か?本場ローマの味とダマになる真相・黄金比レシピ
カチョエペペという料理名は、ローマを含むラツィオ州の方言に由来します。「カチョ(Cacio)」はチーズ、「ペペ(Pepe)」は胡椒を指し、言葉通り「チーズと黒胡椒のパスタ」を意味しています。その起源は古代ローマ時代にまで遡り、アペニン山脈を移動していた羊飼いたちの知恵から生まれた携帯食が原型とされています。長期保存が効く乾燥パスタ、羊の乳から作られた塩気の強いペコリーノ・ロマーノ、そして体を温め代謝を高める黒胡椒の粒。これらを腰袋に忍ばせ、過酷な放牧生活の糧としていた歴史的背景があります。
イタリア料理界において、カチョエペペは「本場ローマ三大パスタ(あるいはグリーチャを加えた四大パスタ)」の原点として位置づけられています。ここで混同されやすいのが、日本でも国民的人気を誇るカルボナーラとの違いです。
決定的な違いは「卵と豚肉加工品(グアンチャーレ)の有無」にあります。カルボナーラは、第二次世界大戦後に米軍が持ち込んだベーコンや粉卵の影響を受けて発展した比較的新しい料理とされますが、カチョエペペは古代から続く完全な「引き算の料理」です。具材の旨味に頼ることができないため、チーズの質と胡椒の鮮度、そしてパスタの茹で湯に含まれるデンプンの濃度だけで全体のコクとソースのとろみを構築しなければなりません。