「神は細部に宿る」本当の意味と由来|ミースの真意と悪魔との決定的違い
「神は細部に宿る」は誰の言葉なのかという問いには、歴史上複数の人物が関わっています。最も有力な発祥の由来として知られるのが、モダニズム建築の三大巨匠のひとりであるミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)です。
ミースは「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」という名言とともに、鉄骨とガラスによる極限まで無駄を削ぎ落とした建築美を追求しました。装飾を排したミニマリズム建築においては、部材と部材の接合部(ディテール)の納まりが完璧でなければ全体の美しさが成立しません。自らの設計思想を体現する信念として彼が好んで使ったことで、この言葉は世界中の建築家やデザイナーに普及しました。
一方で、美術史の文脈においてはドイツの碩学アビ・ヴァールブルク(Aby Warburg)が講義や研究のモットーとして語った言葉(ドイツ語:Der liebe Gott steckt im Detail)としても広く記録されています。ルネサンス美術の図像を解読するにあたり、絵画の片隅に描かれた植物や衣装の折り目といった微小なモチーフにこそ時代の精神が凝縮されていると見抜いたヴァールブルクの洞察は、学術の世界に大きな転換をもたらしました。
さらに遡ると、19世紀フランスの作家ギュスターヴ・フローベールが書簡に残した「Le bon Dieu est dans le détail(良き神は細部にいる)」に起源があるとする説もあり、ヨーロッパの長きにわたる知性や職人文化の中で受け継がれてきた思想であることが伺えます。