早見優『夏色のナンシー』誕生秘話と紅白の舞台裏!名曲の真実を徹底解剖
『夏色のナンシー』が単なるCMソングにとどまらず、エバーグリーンな名曲となった最大の要因は、制作陣による緻密なソングライティングにあります。
作詞を手掛けたのは、数々の名作を世に送り出してきた山川啓介。作曲・編曲(シングル盤編曲は茂木由多加)は、昭和から平成のポップス界を牽引し続けたヒットメーカー馬飼野康二が担当しました。馬飼野康二によるモータウン・ビートをベースにした弾むようなリズムと、アメリカン・ポップス直系のコード進行は、従来の哀愁を帯びたマイナーコード歌謡とは一線を画す洗練された響きを持っていました。
特にリスナーの心を捉えたのが、サビで繰り返される「恋かな(Yes!) 恋じゃない(No!)」というコール&レスポンスです。このフレーズに込められた意味について、作詞の山川啓介は思春期の揺れ動く乙女心と、どこか自立した現代的な少女像を軽妙なリズム遊びに落とし込みました。当時、日本のポップスにおいて英単語の相槌をこれほど自然かつフックとして機能させた例は極めて稀でした。
さらに決定打となったのが、早見優の卓越した英語発音とリズム感です。幼少期をグアムやハワイで過ごした帰国子女である彼女の発音は、カタカナ英語特有の平坦さが一切なく、楽曲全体に本場ウェストコースト・ポップスの風を吹き込みました。本人が当時の音楽特番やインタビューで語ったところによれば、「英語のニュアンスを日本語のメロディにどう心地よく乗せるか、ディレクターと何度もテイクを重ねた」というストイックなスタジオワークの結晶でもありました。