津波被害の恐るべき真実|30Cmで命を奪う破壊力と南海トラフの衝撃

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現在、日本列島が直面している最大の国家的危機が、近い将来の発生が確実視されている南海トラフ巨大地震です。内閣府の中央防災会議が公表している南海トラフ津波被害想定の最新試算では、最悪のシナリオにおいて最大クラスの津波の高さは高知県黒潮町で34.4m、静岡県下田市で33mに達すると予測されています。

さらに恐るべきは、その速度です。静岡県、和歌山県、高知県などの太平洋沿岸部では、地震発生からわずか2分から3分で1m以上の津波が押し寄せるとシミュレーションされています。揺れによって家屋が倒壊したり道路が寸断されたりしている極限状態のなかで、徒歩避難を行うための猶予は極めて限られています。

全国の沿岸自治体では、国土地理院や各都道府県が公表するハザードマップ最新情報や津波浸水想定区域マップの改定が急ピッチで進められています。しかし、専門家が警鐘を鳴らすのは「ハザードマップの境界線に対する過信」という死角です。

ハザードマップに描かれた着色エリアは、ある特定の科学的モデルに基づいた津波被害シミュレーションの結果にすぎません。実際の地震では、断層のずれ方、潮位の満ち引き、地盤沈下の度合いによって、浸水域が想定区域の外側へ数百メートル以上拡大することが東日本大震災でも多発しました。地図上の「着色されていない白い場所」は、決して「安全が保証された場所」ではなく、「今回の計算条件では浸水しなかった場所」に過ぎないという真実を忘れてはなりません。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。