安楽死が認められている国一覧【2026】スイス渡航の条件と費用の実態

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欧米諸国における安楽死制度のフロンティアでは、いま極めて深刻な倫理的亀裂が生じています。その中心にあるのが「精神疾患単独の患者に対する安楽死の是非」と、「貧困や福祉不足を理由とする死の選択」です。

オランダでは、身体的疾患のない難治性の重度うつ病や双極性障害、拒食症患者に対しても、例外的に安楽死が認められる枠組みが存在します。しかし、精神科医による診断は年単位に及び、精神障害そのものが本人の「死にたい」という判断能力を歪めていないかを証明することは極めて困難です。現場の医師の間でも「治療の断念を医療が後押ししているのではないか」という激しい自己批判が渦巻いています。

特に国際的な波紋を広げたのがカナダのMAID制度(Medical Assistance in Dying)です。2016年に導入された当初は「死が合理的に予見可能な終末期患者」に限定されていましたが、2026年の法改正により、回復不能な障害や重度の慢性疾患を持つ非終末期患者へも拡大されました。その結果、貧困や住居不足、障害者福祉支援の貧困から「生き続けるコストを払えない」として安楽死を選択するケースが相次いで告発され、国連の障害者権利委員会からも厳しい懸念が表明されました。

本来、個人の尊厳を守るためのセーフティネットであるはずの制度が、いつの間にか「社会保障の不備を穴埋めする安易な出口」へと変質しかねない――このスリッパリー・スロープ(滑り坂)現象は、2026年現在の国際社会において最も警告されている構造的リスクです。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。