「見る」の謙譲語は拝見する?敬語の使い分けとビジネスメールの落とし穴
敬語に関するネット上の議論やSNSの投稿を検証すると、間違った認識のまま定着しかけている表現が散見される。特に注意すべき2大トラップを解説する。
誤解1:「拝見される」という致命的な敬語ミス
「上司が資料を拝見される」といった表現を耳にすることがあるが、これは完全な誤用だ。「拝見」という謙譲語に、尊敬の助動詞「れる」を付け足しても、相手を高める尊敬語にはならない。謙譲語はあくまで「自分側の動作」に使う言葉であり、相手の動作に使うと相手をおとしめる結果になってしまう。「上司が資料をご覧になる」が正しい。
誤解2:「ご覧になられる」の二重敬語問題
「ご覧になる」という尊敬語に、さらに尊敬の助動詞「られる」を重ねた「ご覧になられる」は、文法的に二重敬語である。日常会話では多用されているものの、厳格な文書マナーが求められる企業間取引やプレスリリースでは避けるべき表現だ。シンプルに「ご覧になる」「ご覧ください」とするのが美しい日本語である。
「ご覧いただく」と「ご覧くださる」の視点の違い
依頼や感謝の場面で使われるこの2つの表現は、主語の視点が異なる。
- ご覧いただく:「相手に見てもらう」(こちらの受ける恩恵に焦点を当てた表現)
- ご覧くださる:「相手が見てくれる」(相手が自発的におこなってくれた行為への敬意)
取引先に「見てくれてありがとう」と感謝を伝えるなら「ご覧くださりありがとうございます」、見てほしいと頼むなら「ご覧いただけますと幸いです」と使い分けると、文章の意図が格段に明瞭になる。