ディープインパクトとアルマゲドンの違いとは?結末と興収の真相を比較
両作が似通った初期設定を持ちながら、全く異なる読後感を観客に残す最大の要因は、結末の迎え方と科学的描写に対するアプローチの根本的な違いにあります。
『アルマゲドン』が描くのは、「地球滅亡の危機を力技でねじ伏せる完全勝利のヒロイズム」です。テキサス州ほどもある小惑星に対し、NASAは宇宙飛行士ではなく民間の石油採掘工たちを宇宙へ送り込みます。地下800フィート(約240メートル)まで掘削して核爆弾を埋め込み、内部から小惑星を真っ二つに割って軌道を逸らすという作戦です。終盤では、愛する娘グレースのために父親ハリー(ブルース・ウィリス)が自ら犠牲となって起爆スイッチを押し、地球への直撃を100%阻止することに成功します。
対照的に『ディープ・インパクト』が提示した結末は、「一部の破片激突による未曾有の壊滅と、選別された者たちによる痛切な復興」というリアリズムの極致でした。飛来するエドモンド・ビドルマン彗星は核攻撃でも軌道を変えられず、2つに分裂。前半の先行破片は無情にも大西洋に激突し、超巨大津波(メガ津波)を発生させてアメリカ東海岸やヨーロッパの主要都市を瞬時に飲み込みます。残る本体に対して宇宙船メサイア号のクルーたちが決死の特攻を仕掛け、空中で粉砕することで人類の完全絶滅だけは辛うじて回避されるという、甚大な犠牲を伴う苦渋の結末を迎えました。
天文学者や宇宙物理学者による検証でも、評価ははっきりと分かれています。『ディープ・インパクト』は、著名な天文学者であるジーン・シューメーカー夫妻がアドバイザーを務めており、彗星表面のガス噴出や低重力下での活動、さらには大西洋に激突した際に発生する津波の到達時間・波高シミュレーションに至るまで、当時の科学的知見が驚異的な精度で反映されていました。
一方の『アルマゲドン』は、宇宙空間での不自然な火災旋風、小惑星上での不自然な地球並みの重力挙動、何より「テキサス州サイズの天体を地下数百メートルの核爆発程度で軌道ごと二分することは物理的に不可能」という点が専門家から指摘されています。NASAのマネジメント研修において「劇中に存在する168箇所の科学的間違いを見つけ出す試験」として本作が使われたというエピソードは、本作の大味なエンタメ性を物語る象徴的な事実と言えます。