昭和の聖地オークラ劇場に迫る激動の現在と独自プロジェクトの全貌
しかし、映画を取り巻く状況は一変した。NetflixやU-NEXTといった巨大ストリーミングサービスの台頭により、映画は手のひらのスマートフォンでいつでも、安価に消費できるコンテンツとなった。とりわけ映画興行業全体が構造的な変革を迫られるなか、独立系劇場が受ける打撃は計り知れない。
「家から一歩も出ずに何千本もの作品を観られる時代に、わざわざ足を運んでもらう理由は何か」。劇場のスタッフが漏らしたその問いは、すべての映画館が直面する切実な現実だ。とりわけ成人映画やアンダーグラウンドな作品はネットとの親和性も高く、劇場の存在意義そのものが根底から揺さぶられた。だが、皮肉にもこのデジタルの波が、アナログな劇場の手触りや「同じ空間で他者と観る」という体験の希少価値を浮き彫りにすることになる。