信太美奈の軌跡|オペラから細野晴臣作品、舞台演出までを貫く美学
歌い手としての実績を重ねる一方で、信太の視線はより多層的な舞台表現へと注がれていく。演出家としての彼女の真骨頂は、若者の生と死、葛藤をリアルに描き出す海外ミュージカルの翻案・演出にある。
ブロードウェイの金字塔である『RENT』をはじめ、『春の目覚め』『フェイム』といった作品において、信太は単なる翻訳上演にとどまらない深い演出を提示してきた。抑圧された感情をどのように肉体化し、声として解き放つか。役者一人ひとりの内面にある衝動を削り出し、生々しいエネルギーとして客席へと照射する手法は、演劇界で高く評されている。
また、伝説的ロックミュージカル『HAIR』をモチーフとした作品『1005804237』や、劇作家・横山由和の脚本による『覗きからくり遠眼鏡』など、実験的なアプローチを含んだアバンギャルドな劇空間の造形にも定評がある。