矢後直規の視覚革命:Radwimpsやラフォーレを魅了するアートディレクターの美的思想と軌跡
矢後直規の名を音楽ファンやクリエイター層に広く知らしめた大きな要因の一つが、ロックバンド・RADWIMPSとのコラボレーションだ。音楽が持つ重厚な世界観、野田洋次郎が紡ぐ詩的で切実な言葉を、矢後は唯一無二のビジュアル言語へと翻訳した。
視覚的ビートを生み出すCDジャケット制作の裏側
アルバム『ANTI ANTI GENERATION』をはじめとするアートワークにおいて、矢後はデジタル処理だけで完璧に作り込まれたグラフィックではなく、肉体性や物質感を強く残したアプローチを好む。被写体を実際に構築し、ライティングとカメラのファインダーを通して偶然立ち現れる一瞬の歪みや美しさを捕まえる手法だ。
音楽のエネルギーを単なる「似合いそうな画像」で覆うのではなく、アルバムの持つ概念そのものを立体的なオブジェクトや緻密な色彩設計で構築する。聴き手がCDを手にとり、ジャケットを眺め、歌詞カードを開くという物理的・視覚的体験全体をデザインしている点が彼の強みである。