仁義なき戦いの原点・美能組の真実 美能幸三が遺した広島抗争の裏録
復員直後の広島県呉市は、法も秩序も麻痺した暴力の無法地帯だった。闇市の利権を守り、あるいは奪うために若者たちが武器を手に取った時代である。その混乱の渦中で台頭したのが、美能組を率いる美能幸三であった。旧海軍の軍港都市として栄えた呉には、独自の縄張り意識と血縁に近い結束が存在した。しかし、敗戦のショックと経済的苦境が、かつての若者たちを流血の惨劇へと追いやる。
美能幸三という男の生き様は、極めて打算的でありながら、どこか破滅的な悲壮感を帯びていた。他組織との果てしない攻防、警察による包囲網、仲間内の裏切り。絶え間ない緊張感の中で、広島抗争は泥沼化していく。単なる任侠の美学では語り尽くせない、泥臭く生々しい「生存をかけた殺戮の現実」がそこにはあった。