解体危機からなぜ復活?吉阪隆正の名作「ヴィラクゥクゥ」奇跡の真相と見学法

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ヴィラクゥクゥの空間的な魅力は、コンパクトな平面積の中に凝縮された立体的なダイナミズムにあります。1950年から1952年にかけてパリのル・コルビュジエのアトリエで学んだ吉阪隆正は、帰国後すぐの時期にこの住宅の設計に着手しました。随所に巨匠からの影響と、吉阪独自の人間味あふれる造形感覚が交錯しています。

図面や間取りの構成を見ると、緩やかな傾斜地に建つ断面計画が際立ちます。半地下のような落ち着きを持つスペースから、吹き抜けを持つ開放的なリビング、そして中二階のようなメゾネット空間へと、視線と動線が立体的に交差するスキップフロア構造が採用されています。限られた気積の中に多様な居場所が創出されており、山小屋(シェルター)のような親密さと大建築のような雄大さが同居しているのが特徴です。

内部写真でも強い印象を残すのが、荒々しくも温かみのあるコンクリート打放しの壁面と、そこに穿たれた小さな開口部です。窓には赤や青などの色ガラスが嵌め込まれており、時間帯によって室内に差し込む光の色彩が刻々と変化します。これはル・コルビュジエが設計した「ロンシャンの礼拝堂」の光の扱いを彷彿とさせつつも、日本の風土や生活感覚に調和するよう繊細にスケールダウンされた、吉阪隆正ならではの空間詩学といえます。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。