不気味な笑顔に潜む歴史!ヨコハマタイヤ看板の謎と高騰の裏側
あのインパクト抜群のキャラクターには、れっきとした出自と名前がある。愛称は「スマイレージ」。誕生したのは高度経済成長期の只中、1962年のことだ。当時、米国のBFグッドリッチ社と技術提携を結んでいた横浜ゴム株式会社が、同社のキャラクターを日本向けに導入したのが始まりである。
タイヤの円形フレームの中に、人間の顔を強引にはめ込んだようなシュールな造形。異様に整った歯並びと、どこか狂気を孕んだような満面の笑みは、モータリゼーションの波に乗って日本中を席巻した。親しみやすさを狙ったはずの意匠が、見る角度や経年劣化によって「夜に見るとトラウマになる」「見つめられている気がする」という独特の恐怖感を醸し出し、結果として人々の脳裏に消えない爪痕を残すことになったのだ。
時代が下るにつれ、よりモダンで洗練されたCI(コーポレート・アイデンティティ)へと移行したことで看板自体の新規生産は終了したが、その怪異な愛嬌は半世紀以上の時を経て、唯一無二のポップアートとして再解釈されている。