学費無料でテストなし?世界が羨むデンマーク教育の光と影を追う
デンマークの教育制度の仕組みは、複線的で柔軟な選択肢が用意されている点が大きな特色です。初等中等教育は「フォルケスコーレ(Folkeskole)」と呼ばれる9年制(任意で10年目も選択可能)の基礎学校で一貫して行われます。学齢期を迎える前の幼児教育においても、自然の中で五感を育む「森の幼稚園(スコーブボーネヘーヴェ)」が広く定着しており、自然体験を通じた自立心や協調性の育成が重視されます。
何より特筆すべきは、公立校であれば小学校から大学院まで授業料が完全に無料である点です。さらに18歳以上の大学生には、家庭環境に関わらず国から「SU(Statens Uddannelsesstøtte)」と呼ばれる返済不要の生活補助金が毎月支給されます。親の経済格差が子どもの教育機会に影響を与えないセーフティネットが完成している形です。
この手厚い教育無償化が実現できる理由は、国民が受け入れる高い税負担にあります。デンマークの所得税率は最高で50%を超え、付加価値税(消費税)も25%に達します。しかし、国民は「税金は未来の社会基盤と人材への先行投資である」という共通認識を持っており、教育への公的支出を社会全体で支える土台が盤石に築かれています。