静脈血ガスの取り方と看護師手技|駆血帯と気泡混入の盲点をプロが解説
看護師向けのクローズドコミュニティや院内インシデント報告の集計データを分析すると、静脈採血手技におけるヒューマンエラーには共通する「構造的パターン」が存在することが浮き彫りになります。 現場ナースの証言・インシデント事例より: 「夜間の救急搬送時、血管が細く穿刺に難渋。駆血帯を締めたままなんとか3分かけて採血したところ、乳酸値が4.2 mmol/Lまで上昇しており、医師が敗血症性ショックを疑って中心静脈カテーテルの挿入準備を始めてしまった。動脈から取り直したところ乳酸値は0.9 mmol/Lの完全な正常値で、手技ミスを激しく反省した。」(救命救急センター勤務・看護師経験5年) 「シリンジの先端にほんの数ミリの小さな空気の泡が見えていたが、『まあ静脈血だし大丈夫だろう』とそのまま分析器にかけた。結果、pO2が85 mmHgという静脈血ではあり得ない高い数値が出力され、主治医から『これ空気入ってるでしょ!取り直して!』と厳しく叱責された。」(一般病棟勤務・看護師経験2年) こうした声から見えてくるのは、「静脈採血=ルーチンワーク」という慣れから生じる油断です。通常の採血スピッツであれば、真空圧によって自動的に規定量が吸い込まれ、転倒混和もスピッツの形状に守られています。しかし、ヘパリンシリンジによる血液ガス採取は、採血者の手の力加減、気泡混入に対する執着、駆血帯を外すタイミングといった「手のひらの微細なコントロール」が検査データに100%直結します。 また、電子カルテのオーダー画面で「静脈血(Venous)」として正しく測定器に認識させるプロセスの抜け漏れも頻発しています。分析器側で「動脈血」モードのまま静脈血を流すと、動脈血基準の警告フラグが立ち並び、夜間当直帯の病棟に不要なパニックを招く要因となります。