唐揚げと竜田揚げの決定的な違いとは?衣と下味の真相を専門家が検証
鶏の揚げ物文化を語る上で欠かせないのが、全国的に定着したチキン南蛮や油淋鶏との違いです。居酒屋やファミレスのメニューでも並列して扱われることが多いですが、そのルーツと調理構造は完全に分化しています。
宮崎県発祥の郷土料理であるチキン南蛮は、根本的に衣の構造が異なります。鶏肉(もも肉またはむね肉)に塩胡椒をした後、小麦粉を薄くまぶし、「溶き卵にくぐらせてから揚げる」のが最大の特徴です。これはピカタに近い技法であり、揚げ上がったフワフワの衣を熱いうちに甘酢タレにジャブ漬けし、タルタルソースをたっぷりかけて供されます。唐揚げのようなカリカリ感を追求する料理ではなく、ジューシーで柔らかな卵衣に甘酢を吸わせる点に本質があります。
一方、中国・広東料理を発祥とする油淋鶏(ユーリンチー)は、本来は「油を素材に回しかけて皮をパリパリに仕上げる」調理法を指します。日本国内では、片栗粉を多めにまぶしてクリスピーかつ硬めに揚げた鶏肉に対し、刻んだ長ネギ、生姜、ニンニク、醤油、酢、ごま油を合わせた酸味と香味の効いた香味ダレを後からかけるスタイルが定着しています。下味の深さで勝負する竜田揚げとは異なり、後がけするタレの酸味と香味が味付けの主役を担っています。