なめ猫は死んだ猫を使っていた?剥製疑惑の真相と撮影トリックの全貌
死んだ猫や剥製説はもちろんのこと、糸で吊るしていたという疑惑も完全な事実無根です。あの奇跡的な立ち姿の裏には、津田覚氏が編み出した極めてシンプルかつ高度な視覚的トリック(だまし絵的ギミック)が隠されていました。
実際の撮影現場において、猫たちは決して二足で立っていたわけではありません。「後ろ足を折り曲げて普通にお座りしている状態」だったのです。人間のように見えた立ち姿のカラクリは、以下の綿密な設計によって生み出されていました。
津田氏は、猫の体型に合わせて前身頃(胸元)を長めに仕立てた特製の衣装を制作。猫が座った状態でその服を着せ、前足を袖に通して固定することで、あたかも人間が直立して両手を前に出しているかのような錯覚を作り出しました。洋服の裾がちょうど座っている後ろ足や下半身を自然に覆い隠す構造になっていたため、カメラ正面から見ると「二本足でスクッと立っている」ように見えたのです。
さらに、猫が安定して座れるよう、特注の小さな支柱や背もたれを衣装の内側に忍ばせるなど、細部まで計算し尽くされた撮影セットが組まれていました。CG技術が存在しなかった昭和の現場で、アナログな衣装デザインとカメラアングルの妙によって生み出された職人技の結晶だったと言えます。