金相場の10年後予想は暴落か高騰か|2035年予測とプロの売買基準
ネット上の情報やSNSの投資インフルエンサーの間では、「金を持っていればインフレ対策は完璧」「世界恐慌になっても金があれば必ず儲かる」といった極端な言説が散見されます。しかし、プロの運用現場から見れば、こうした言説には重大な誤解が含まれています。
第一の誤解は、「金は常に値上がりし続ける」という思い込みです。歴史を振り返れば、1980年に記録した高値(1オンス=850ドル)の後、金相場は約20年間にわたり長い低迷期を経験しました。この間、株式市場は大きく成長しており、金だけに偏った投資を行っていた投資家は膨大な機会損失を被りました。金は利息や配当を生まないため、保有しているだけでは資本が増殖しないという冷徹な構造を理解する必要があります。
第二の盲点は、行動経済学でいう「FOMO(取り残されることへの恐怖)」による高値掴みです。メディアが「史上最高値更新」と大々的に報じるタイミングは、得てして短期的な過熱感がピークに達しているケースが少なくありません。プロスペクト理論が示す通り、人間は利益を得る喜びよりも損失を被る苦痛を約2倍強く感じるため、最高値圏で一括購入した後に10〜20%の調整が入ると、耐えきれずに底値で狼狽売りしてしまう投資家が後を絶ちません。
インフレ対策としてのゴールド投資は、資産を守る「盾」であって、資産を急拡大させる「剣」ではありません。この本質を見誤ると、思わぬボラティリティに資産を削られる結果となります。