冠動脈バイパス術の真実|カテーテルとの違いや成功率・予後を完全解剖
Q1:手術中に心臓は完全に止めるのでしょうか?
A1:症例に応じて選択されます。人工心肺装置を用いて心臓を止めて行う「オンポンプ手術」と、心臓を拍動させたまま特殊な器具で局所を固定して血管をつなぐ「オフポンプ手術(OPCAB)」があります。現在の日本では約6割前後の施設でオフポンプ手術が採用されており、患者の全身状態や血管の性状に合わせて安全な方式が選択されます。
Q2:バイパスとして体から採取した血管(足や胸)は、取っても問題ないのですか?
A2:日常生活に重大な支障は出ません。胸の内胸動脈や胃の大網動脈、足の大伏在静脈、腕の内頭骨動脈などが使われますが、これらの血管は周囲に豊富な側副血行路(代わりの血流ルート)が存在するため、採取後も手足の壊死や血流不全を起こす心配はありません。足の静脈を採取した後に一時的なむくみが生じることがありますが、弾性ストッキングの着用などで数ヶ月で軽快します。
Q3:退院後、車の運転やゴルフなどのスポーツはいつから再開できますか?
A3:胸骨が骨融合するまでの期間が目安となります。切開した胸骨が強固にくっつくまでに約2〜3ヶ月を要するため、激しい上半身の回旋運動(ゴルフやテニス)や万が一の衝撃を避けるべき車の運転は、術後2〜3ヶ月の検診で骨の癒合を確認してから再開するのが一般的です。散歩や軽いウォーキングは退院直後から推奨されます。
Q4:80歳以上の高齢者でもバイパス手術は耐えられますか?
A4:実年齢だけでなく「生理的年齢(全身の臓器機能や歩行能力)」で判断されます。近年の麻酔技術と周術期管理の進歩により、80代前半であっても自立歩行ができ、重篤な認知症や多臓器不全がなければ安全に手術を完遂できるケースが多数を占めます。心不全症状が劇的に改善し、元気に自立生活を取り戻す高齢患者も少なくありません。