入来祐作の現在と波乱の球歴|用具係から掴んだ指導者への再起
入来祐作氏を語る上で欠かせないもう一人の主役が、実兄である故・入来智氏です。かつてヤクルトスワローズなどで活躍した智氏と祐作氏は、「入来兄弟」として球界の歴史にその名を刻みました。
2001年、兄・智氏がヤクルトで10勝を挙げてカムバックを果たした際、弟・祐作氏も巨人で13勝をマーク。同年のオールスターゲームでは兄弟揃って選出され、同じ試合でリレー登板するという日本プロ野球史上初となる快挙を達成しました。マウンドに向かう際、互いに視線を交わし合いながら健闘を称え合った光景は、昭和・平成のプロ野球を象徴する名場面として語り継がれています。血を分けた兄弟でありながら、セ・リーグの覇権を争う伝統球団のエース格として火花を散らしたライバル関係でした。
しかし、2026年2月、運命は残酷な悲劇をもたらします。兄・智氏が地元・宮崎県都城市において、交通事故により55歳の若さで急逝したのです。当時オリックスの春季キャンプ中だった祐作氏は、突然の悲報に深い衝撃を受けながらも、気丈に取材陣の前に立ちました。
「兄貴がいたから、負けたくない一心でここまでプロの世界でやってこられた。これからは兄貴の分まで野球と向き合い、兄貴の魂も一緒にユニフォームを着て戦う」
涙を浮かべながら語られたその決意表明は、多くのファンの胸を打ちました。背番号に兄の面影を宿し、マウンドに立つ若者たちに注ぐ眼差しには、兄とともに歩んだ野球人生の重みが込められています。