名優・神山繁の死去が残した衝撃『ブラック・レイン』の光芒と最期
80代を迎えてなお、彼の鋭い感性は衰えることを知らなかった。北野武監督が描いたバイオレンス映画の傑作『アウトレイジ ビヨンド』における巨大極道組織・山王会の布施会長役は、まさに彼の役者人生の集大成とも呼べる怪演だった。表向きは好々爺然としながらも、裏では冷酷な計算を巡らせる悪のフィクサーを、静かな狂気をもって演じ切った。
北野武監督特有の緊張感あふれる現場において、余計な身振り手振りを一切削ぎ落とし、目線の動きとセリフの間だけで恐怖を表現した演技は圧巻の一言だった。若手・中堅キャストが荒々しい怒号を飛び交わせる中、彼が静かに放つ一言が誰よりも恐ろしい存在感を放っていた。本物の名優だけが到達できる境地がそこにはあった。