突然の激しい胸痛…たこつぼ心筋症のサインと心筋梗塞との決定的な違い
たこつぼ心筋症の患者構成には、明確な偏りがあります。患者全体の約90%を女性が占め、その大部分が55歳以上の閉経後女性です。この圧倒的な偏重には、女性ホルモンである「エストロゲン」の働きが深く関与しています。
エストロゲンには、血管内皮細胞を保護してしなやかさを保ち、交感神経の過度な高ぶりを抑制する作用があります。閉経によってエストロゲンが激減すると、心血管系はストレスホルモン(カテコラミン)の急激なサージに対して極めて脆弱になります。その結果、交感神経からの刺激が心筋の受容体にダイレクトに過剰負荷を与え、心筋の微小血管攣縮や細胞障害を起こしやすくなるのです。
男性でも発症例は存在しますが、男性の場合は精神的ストレスよりも大怪我や敗血症、脳卒中といった「身体的・侵襲的ストレス」が引き金になる比率が高い傾向にあります。