高橋まつりさん過労死事件の全貌と現在|電通と社会は何を変えたか
電通の社内記録上、まつりさんの残業時間は「月69.9時間」などとされ、労使協定(36協定)の上限である70時間以内に収まるよう偽装されていました。上司から残業時間を過小申告するよう強い圧力がかかっていたためです。
しかし、遺族側弁護護団が入退館記録やパソコンのログイン履歴、SNSの送信履歴などを精緻に解析した結果、本採用後の1か月間の時間外労働は約105時間に達していたことが判明しました。2016年9月、三田労働基準監督署は「極度の長時間労働とパワハラによる適応障害・うつ病発症」を直接の原因として、正式に労働災害(過労死)と認定しました。
翌2017年には、労働基準法違反の罪で法人としての電通が略式起訴され、東京簡易裁判所において罰金50万円の有罪判決が言い渡されました。電通は1991年にも若手社員の過労自殺事件を起こしており、二度にわたる重大な人命喪失に対して、経営陣の社会的責任が厳しく問われることとなりました。