高森ツリーハウス現在の姿とは?解体噂の真相と巨木が辿った軌跡
高森ツリーハウスの成り立ちを語る上で欠かせないのが、建物の中心を貫く巨大な杉の存在です。この木は単なる建築の支柱ではなく、地元で古くから水神様として崇められてきた「上玉来(かみたまらい)の大杉」と呼ばれる御神木です。幹周りは約7.5メートル、推定樹齢は400年を超え、高森の豊かな湧水と森を見守り続けてきました。
ツリーハウスが誕生した背景には、木を消費するためではなく「守るため」という極めて珍しい動機がありました。過去の大型台風によって大杉の幹が裂け、激しい損傷を負った際、雨風の侵入を防ぎ倒木被害を食い止める保護補強のシェルターとして木造デッキが組み上げられたのです。巨木を傷つけずに包み込む奇抜なアイデアと、秘密基地のような圧倒的スケール感が話題を呼び、私設の憩いの場から阿蘇を代表する隠れ家的名所へと発展していきました。
しかし、この共生関係を根底から揺るがしたのが2016年4月に発生した熊本地震でした。激しい揺れが阿蘇地域一帯を襲い、ツリーハウスが立つ傾斜地一帯で深刻な地盤沈下が発生。地盤のズレに伴い、大杉を支えつつ自立していた木造の柱や梁に構造的な歪みが生じました。余震が続く中で倒壊リスクが急激に跳ね上がり、安全確保が困難となったことから、運営者は一般開放の即時断念と廃業という苦渋の決断を下すに至りました。