閑古鳥が鳴くの正体とは?意外な語源と意味・類語・使い方を徹底解説
「閑古鳥」という名称の独立した鳥類は、生物学上の分類には存在しません。閑古鳥の正体は、初夏に日本へ渡ってくる夏鳥「カッコウ(郭公)」です。
カッコウの「カッコウ、カッコウ」という低く単調な鳴き声は、山あいや高原の静寂の中で独特の物寂しさを漂わせます。古来、日本人はこの鳴き声に侘び寂びの情緒を感じ取り、親しみを込めて「呼子鳥(よびこどり)」や「閑古鳥」と呼び習わしてきました。「閑古」という漢字は、静けさを表す「閑(しず)か」と、過ぎ去った時代を想起させる「古(いにしえ)」を組み合わせた当て字です。
閑古鳥という言葉を一躍有名にしたのが、江戸時代の俳人・松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の途中で詠んだ名句です。
「憂き我を さびしがらせよ 閑古鳥」
(憂鬱な気分に沈む私を、その物寂しい鳴き声でいっそう寂しがらせてくれ、閑古鳥よ)
芭蕉が捉えたのは、孤独な旅路の心象風景に寄り添う風流な鳥の姿でした。しかし時代が下るにつれ、「鳥の鳴き声がはっきりと聞こえてしまうほど、辺りに人の気配がない」「人が寄り付かず静まり返っている」という情景描写が強調されるようになります。そこから転じて、「客が来なくて商売が成り立たない店」を揶揄・自嘲する慣用句へと意味が変化していきました。