『アッツ島玉砕』に秘められた真実―藤田嗣治の苦悩と暗号を解く
現在、『アッツ島玉砕』は東京国立近代美術館の常設展や企画展で展示される機会が多い。画面の前に立つ際は、ぜひ作品との距離を変えて鑑賞してほしい。
離れた位置からは、圧倒的な群像の動的なエネルギーと重厚な色彩の塊が迫ってくる。一方で、一歩近づくと、兵士の手指の爪、破れた衣服の縫い目、地面に転がる手榴弾の質感に至るまで、驚くべき克明さで描写されていることがわかる。戦後の美術史において「戦争協力者」としての批判を浴び、失意のうちに日本を去りフランスへ帰化した藤田嗣治。彼が命を削って残したこの画面は、時代を超えて現代の私たちに「戦争とは何か」「表現とは何か」という重い問いを突きつけ続けている。