なぜあの表情に腹が立つ?「ムカつく顔」の正体を脳科学が解明
この脳の警戒反応を完璧に計算し、作品の熱量を爆発させる領域がある。それがエンターテインメント業界だ。とりわけ視聴者の感情を極限まで揺さぶる劇的なパフォーマンスにおいて、「憎らしい表情」の演技力は作品の成否を決定づける。
日本のドラマ界において、その最高峰として語り継がれるのが、TBSテレビの大ヒット作『半沢直樹』で見せた香川照之の圧倒的な表情演技だろう。顔面のあらゆる筋肉を自在に操り、眉間のシワや口元の歪み、見開かれた眼光によって完璧な「敵役」を作り上げた。視聴者は彼の顔が画面に映るたびに激しい憤りを覚えつつも、その強烈な存在感から目を離すことができなくなった。優れた悪役俳優は、人間が本能的に不快と感じる表情のパターンを熟知し、それを演技として昇華させているのだ。