エヴァ「最低だ俺って」の真相|病室シーンの理由と庵野監督の演出意図
この過酷なシーンを演じた碇シンジ役の声優・緒方恵美さんにとっても、病室シーンの収録はキャリア屈指の壮絶な体験となりました。後年のインタビューや著書において、緒方さんは当時の台本を開いた瞬間の衝撃と精神的重圧を振り返っています。
テスト収録の段階から、庵野監督は妥協を許さないリアルな演技を要求しました。シンジの乱れる息遣い、理性が崩壊していく過程、そして事を終えた後の虚脱感を表現するため、緒方さんは極限まで自己の感情をシンジと同調させました。その結果、スタジオ内で本当に過呼吸状態に陥り、強烈な吐き気と自己嫌悪に苛まれながらマイクに向かったと明かされています。
声優の肉体と精神を削り取って絞り出された生々しい吐息と絶望のつぶやきだからこそ、記号的なアニメの枠を超え、四半世紀以上が経過した今も色褪せない異様な緊張感を放ち続けています。