川底から蘇った守り神:奈良・寺川の地蔵尊が2026年の地域再生と防災に投じる静かな一石
話は数年前の河川改修にさかのぼる。重機の乾いた金属音が響く現地で、作業員の手がふっと止まった。粘土層のすき間から見えたのは、苔に覆われた一枚の宝珠形石造物。江戸中期の銘が刻まれた地蔵尊だった。
「まさかこんな場所に眠っていたとは思いもしなかった」。そう語るのは、長年この地域で暮らし、保存会の中心的存在である地元の古老だ。高度経済成長期の護岸工事で流出を防ぐために固定されたのか、あるいはそれ以前の水害で没したのか。調査が進むにつれ、この地蔵がかつて旅人の安全と川の溢水を静めるために建立されたことが明らかになった。